東京を拠点に活動するウェルネスコーチのクライアントが、英語圏のユーザーにもサービスを届けたいと考え、日本語のウェブサイトを一語一句そのまま英語に翻訳しました。

その結果
サイトの英語は文法的には正しかったのですが、どこかしっくりきませんでした。
日本語では伝わっていた彼女の温かさや共感力が、英語では硬くて機械的な印象になっていたのです。
たとえば、「まずはお気軽にご相談ください」という自然で親しみのある表現は、“Please feel free to contact us first.” と訳されていました。
丁寧な言葉遣いです。
親しみやすくて伝わりやすいかと言われると、それほどでもという印象を受けます。
ホームページの訪問者の滞在時間は短く、お問い合わせも来ませんでした。そんなとき、彼女は私に相談してくれました。その時、一番に考えたのは、翻訳ではなく、「伝え方」を一緒に見直すことにしました。
例えば、“Please feel free to contact us” の代わりに使ったのは、 “Let’s chat about how I can help you feel your best.”
この小さな変化が、彼女の人柄やあたたかさをしっかりと伝えることに繋がり、サイトの雰囲気もガラッと変わりました。訪問者は長く滞在し、メールでの問い合わせも増えたのです。違いを生んだのは、言語そのものではなく、言葉の奥にある「思い」でした。
💡 直訳では伝わらない理由
翻訳とは、ただ言葉を別の言語に置き換えることだと思われがちですが、言語は単なる言葉ではありません。トーン、感情、文化、そして文脈すべてが関係しています。
直訳でうまくいかない主な理由は:
❌ 文化的なズレ
ある言語で自然に聞こえる表現も、別の言語では不自然に感じられることがあります。たとえば、日本語で期待される控えめで丁寧なトーンは、英語では曖昧すぎたり、堅苦しく感じられることがあります。
❌ ブランドの声が伝わらない
ウェブサイトのトーンは、ブランドの印象を大きく左右します。親しみやすいか? それとも、きっちりとした専門的な印象か? こうしたニュアンスは、直訳では伝わりにくいのです。
❌ SEOのズレ
Google検索は、単なる言語だけでなく「文化」にも影響されます。日本のユーザーが使う検索キーワードと、英語圏のユーザーが使うキーワードは必ずしも一致しません。
✨ では、どうすればいいか?
バイリンガルのウェブサイトは、ふたつの異なる相手と会話するようなもの。伝えたいメッセージは同じでも、その伝え方は文化に合わせて調整する必要があります。
ポイントはこちら:
✅ 言葉ではなく「意図」を翻訳する
何を伝えたいのかを重視し、それを相手の言語で自然に表現しましょう。良いバイリンガルサイトは、「翻訳された感じ」がなく、どちらの言語でも違和感なく伝わります。
✅ 文化に合わせてトーンを調整する
英語では、はっきりとした表現や行動を促すフレーズが効果的ですが、日本語では信頼感や丁寧さ、控えめな表現が好まれることもあります。
✅ レイアウトやビジュアルも見直す
デザインに対する期待も文化によって異なります。日本のユーザーは情報量の多い構成を好む傾向があり、英語圏のユーザーはシンプルでCTA(行動を促すボタンなど)がはっきりしたデザインを好むことが多いです。
✅ 両方の文化を理解している人と取り組む
ライティング、デザイン、UXのどれであっても、日英どちらの文化にも精通した人と協力することで、文化的な誤解や機会損失を防ぐことができます。
🌍 最後に
あなたのウェブサイトは、多くの場合、訪問者にとっての“最初の出会い”です。だからこそ、世界に向けたその第一印象が、どんな文化の人にとっても自然で信頼できるものであることが大切です。
ただ「きれいに訳された」サイトではなく、言葉もデザインも“しっくりくる”サイトを目指しませんか?
どこから始めればいいか分からないときや、今のバイリンガルサイトにしっくりこないと感じたら、ぜひご相談ください。文化と言葉を超えて、心をつなぐデザインを一緒につくりましょう。